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探究学習とは

探究型の学習って、どんなものでしょうか? 特徴やアプローチを見ていきましょう。 

探究学習ABC

探究学習ってなんだろう?

探究学習(Inquiry Learning)とは、学習者が自らの問いを立て、それを調べ、結論を導き出すプロセスを指導者がサポートする学習法です。

この学習スタイルは決して新しいものではありません。古代ギリシャのソクラテスは「問答法」を、古代中国の孔子は「対話」を通じて、質問と議論を重ねることでテーマへの理解を深め、学習者の思考力を高めてきました。

探究学習ってなんだろう?

探究型の学びスタイルは、先生の話を聞いてテストを受ける講義型とは違い、自分で調べて発見したことを発表するので、学んだことがしっかりと身につくとされています。また、社会に出たときに答えのない問題に対して自分で考えて解決する力もつくとされ、国際バカロレア(IB)や世界中の学校で講義型に代わる学習スタイルとして活用されています。

講義型学習と探究型学習の違い

講義型の学習と探究型の学習の違いは何でしょう。その特徴を比べてみましょう。 

講義型学習の特徴

 先生中心: 先生が知識を伝達する形式。先生が主導権を持つ。

 受け身学習: 学習者は情報を受け取る側に立ち、知識を吸収する。

 知識の伝達: 事実や概念を体系的に伝える。知識の記憶に重点を置く。

 個別学習: 個々の学習者が独立して学ぶことが多く、協働学習は少ない。

 知識の習得: 科目ごとの知識をしっかりと理解する。 

探究学習の特徴

 主体的: 学習者が自ら問いを立て、それに対する答えを探求する。学習者の主体的な学びが重視される。

 課題解決型: 現実の問題や課題を解決するための学習。探究プロセス活動を通じて知識やスキルを深める。

 プロセス重視: 課題の設定、情報収集、分析、発表、振り返りなどのプロセスを重視。

 協働学習: グループでの活動が多く、他者と協力して学ぶことが多い。

 スキルの育成: 批判的思考、問題解決能力、コミュニケーション能力、情報リテラシーなどのを重視。 

探究学習、複数のアプローチ

学びのスタイルには講義型、探究型がありますが、ひとことで探究型と言っても、アプローチには複数あります。プロジェクト型、課題解決型、ケーススタディ、デザイン思考などがその代表です。小中学校の教育現場でよく活用されているのはプロジェクト型のアプローチと課題解決型のアプローチです。 

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経験を通じた学び=プロジェクト型学習

プロジェクトベース型のアプローチでは、経験を通じた学びを重視し、実生活の問題を解決することをゴールとしています。日本でも「生活科」「総合的な学習の時間」などで幅広く活用されています。

子どもの実践的なスキルを育む有効な方法ですが、プロジェクトは数週間から数ヶ月にわたること、地域や企業とのコーディネートが必要なこともあり、先生にとって労力もかかるアプローチとなります。

プロジェクト型学習の特徴

 リアルな課題: 学習者が現実の問題や課題に取り組む。

 長期的な学習: プロジェクトの計画、実行、評価までを長期間にわたって行う。

 協働学習: グループでの活動が多く、共同で解決策を見つける。

事例

①トマトやあさがおを育てるプロジェクトを企画し、児童が種まきから収穫までの過程を管理。成長記録をまとめる。

②生徒が修学旅行の計画を立て、目的地の選定、日程調整、宿泊施設の予約、活動内容の企画などを行う。

リサーチ力・プレゼン力をつける=課題解決型学習

課題解決ベースのアプローチは、設定されたテーマや問題に対して、子どもが自主的に調査し、解決策をさぐって発表する学習方法です。リサーチ力、プレゼン力をつけることができます。

先生は主にファシリテーターの役割を担い、負担も工夫次第で軽減できます。先生は生徒の学びをサポートし、必要なアドバイスやリソースを提供することで、子どもの自主的な学びを育みます。

課題解決型学習の特徴

 課題中心: 学習者が特定の課題や問いを解決するためのプロセスを学ぶ。

 主に自主学習: 学習者が自ら情報を収集し、分析して解決策を導く。

 批判的思考: 問題に対する多角的な視点と論理的思考を重視。

事例

①児童がミニニトマトやあさがおが育たない原因を調べ、改善策を提案し、発表する。

②修学旅行に予算が不足している問題に対して、生徒が資金調達方法をするアイデアを考え、発表する。

日本の探究学習では、プロジェクト型のアプローチが主に活用されてきましたが、IBや海外の学校では両方をバランスよく取り入れ、問題解決ができる力を育もうとしています。

またどちらのアプローチにしても、以下のように課題設定からの探究プロセスをくり返すことに変わりはありません。 

探究型学習の4つのレベル

探究学習では学習者が、社会にでて仕事をする時のように、課題を設定し(問いを立てる)、自分で情報を収集し、まとめるて発表するというプロセスを体験します。でも練習なしにできることではありません。

カナダ人の探究的な学びの専門家Trevor Mackenzie先生はイラストで、「探究学習者も水泳と同じようにトレーニングが必要である」こと表現しています。※イラストは先生に了承を得て日本語版にしています。

「探究的な学び方」を子どもたちが理解し、学習者としての自立ができるまでは、先生のサポートが必要となります。子どもたちが「学び方」を体得するにつれて、先生はティーチングから、ファシリテーター(授業の進行、調整役)となっていきます。

レベル1

クラス全体が先生の指導のもとで同じ課題で探究活動を行います。

・先生の関わり合いの程度:高(使用可能な資料等を共有)

・目的:「探究学習」の流れを体験する

・問い:子どもたちの能力に適切なものを先生が用意して、子供は同じ問いに一斉に答える

レベル2 

先生の管理の下、テーマや問いをいくつか提示し、子どもが選び、まとめていきます。

・先生の関わり合いの程度:高(探究学習の新しい段階に入ったときには、その都度、重要事項や使用可能な資料等を共有)

・目的:「探究学習」の流れを把握する

・問い:子どもたちの能力に適切なものを先生が用意

レベル3 

先生は、子どもが自立して発表していけるよう、ガイドします。 

 

・先生の関わり合いの程度:中(頻繁に子どもたちの学びを確認し、適宜、資料の探し方などをサポートしたり、必要に応じたフィードバックを行う)

・目的:「探究学習」の学び方を理解する

・問い:(一定のカテゴリーの中で)子どもたちと一緒に問いを考える

レベル4 

レベル1、2、3に慣れた子どもたちが、今度は自由にテーマを選び、表現方法を選んで、自由な発想で学習を進めます。 

・先生の関わり合いの程度:低(子どもの探究を深めるための問いかけを行う)

・目的:「探究学習」を使って効果的に学び方のスキルを育成する

・問い:子どもたちが自分で問いを立てる