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先生の役割

先生の主なサポート

講義型の学習では、先生が知識を明確に伝える「指導者」としての役割を果たします。一方、探究型の学習では、先生は子どもの学習をサポートしたりファシリテートする役割となります。

ガイドとしてのサポート

先生は学習の方向性を示し、必要な資料を提供します。子どもが問いを立てる際や調査の進め方についてアドバイスを行い、学習のプロセスをを見守っていきます。

ファシリテーターとしてのサポート 

先生は子どもが自主的に学ぶ時間や環境を整え、ディスカッションや協働学習を促進します。生徒同士の意見交換を活発にし、いろんな視点から問題を考える手助けをします。

メンターとしてのサポート 

長期的な学びや、個々にあった表現の仕方のアドバイスを行い、興味や関心に応じたサポートを提供します。目標を設定し、それを達成するための計画を立てる手助けをしたり、予定通り進んでいるか確認をします。

テーマを選んで提案し、課題を引き出す

先生が探究学習のテーマを決める際には、総合的な学習の時間ならば、子どもの興味や関心を考慮し、現実的で実践的なテーマを選ぶことができます。また理科、社会などの教科ならば、指導要領の教育内容や目標と関連づけながら、探究型の学びにトライすることも可能です。なるほど!えージェントのテーマ一覧には指導要領との関連を明記しているので、こちらからテーマを選ぶのもおすすめです。 

以下は「トマトの栽培」がテーマの場合、学校の指導要領教育内容に関連づけた場合の課題事例です。

小学校低学年(1~2年生)

生活科 「生き物を育てることを通して、命の大切さや世話の方法を知る」

→探究学習の課題例  「トマトの世話をしよう」

トマトの水やりや観察を通じて、植物の成長過程を学ぶ。日記をつけて成長を記録する。

小学校中学年(3~4年生)

理科 「植物の成長に必要な条件について調べる」

社会科 「地域の産業や農業について学ぶ」

→探究学習の課題例「トマトが大きく育つための条件を調べよう」

異なる環境条件(光、水、肥料など)でトマトを育て、どの条件が最も成長に適しているかを比較する。

小学校高学年(5~6年生)

理科 「植物の生育環境を整え、観察する」

家庭科 「栽培した作物を使った料理を考える」

探究学習の課題例 「トマトの栽培と料理を楽しもう」

トマトを育て、収穫後にそれを使った料理を考案する。栄養価や調理法についても学ぶ。

中学校

理科 「植物の成長における光合成や養分の吸収について理解する」

技術・家庭科 「食物の栽培と利用に関する技術を学ぶ」

探究学習の課題例「トマトの成長メカニズムを探ろう」

光合成の仕組みや栄養素の吸収について実験を行い、トマトの成長に与える影響を調べる。成長記録をつけ、データを分析する。

高校

生物「植物の生理学的機能について学ぶ」

探究学習の課題例「持続可能なトマト栽培の方法を提案して、環境を守ろう」

持続可能な農業の概念を学び、異なるトマト栽培方法(有機栽培、水耕栽培、伝統的農法など)を比較研究する。

 

問いかける、声かけることが重要

探究する課題が決まったら、探究プロセスがはじまりますが、どのプロセスにおいても重要なことは、先生が「問いをかけを続けること」です。「この問題がはどうやったら解決するのかな?」「他の地域ではどのようにこの問題を解決しているのかな?」など問いかけて興味と関心を引き出し、探究の方向性を示していくこと、さらには「発表まで間に合うかな?」など、自己調整学習を促進するための声がけが重要です。

最初は子どもは答えを教えてくれない先生に戸惑うかもしれません。でも問い続ければ、子どもの心に、「探究するきっかけ」が生まれます。問いかけられたら黙ってしまう子どもの「沈黙を良きサイン」として、いろんな問いを投げかけていきましょう。

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答えのない問いとは?

問いかける上で意識したいのは、「答えのない問い」です。

「答えのない問い」とは、調べれば分かる問いではなく、「なぜ?(Why?)、どうしたらいい?(How?)どう感じた?」という、調べてもすぐには答えが得られない、考えるきっかけを与える問いかけです。子どもの好奇心を刺激し、自ら考え、課題や解決策を見つけるきっかけとなります。

理想的な問いかけは以下のような問いとされています。

  • 開かれた質問(Open Ended Questions) 正解が存在せず、考えるきっかけを与える質問
  • 批判的思考を促す質問(Critical Thinking Questions) 情報の分析や比較を促す質問
  • 関連性のある質問(Relevant Questions) 子どもの日常生活に関連する質問
「答えのない問い」を投げかける

なるほど!エージェントの問いコーナーにも、先生が投げかける問い事例をご用意しています。参考にしてみてください。

「問いコーナー」は先生の問いガイド

評価について

探究学習の評価にはルーブリックを使うのがおすすめです。評価基準が明確になり、公平で一貫性のある評価ができます。成果物だけでなく、課題設定、情報収集、分析、結論導出などのプロセス全体を評価します。またプレゼンテーション、グループでの協働、振り返りなど様々な側面を含めることができます。まずは「どんな評価をするからね」ということを先に伝えることが重要です。

以下の表の評価軸は、関心・意欲・態度、知識、協働学習の評価などになっており、点数も3〜1となっていますが、例えば振り返りを含めた評価軸を作にアレンジしていただくこともできます。

<その他、 表の左の評価軸の事例>

プロセスの評価

学習者の探究過程を観察し、課題設定、情報収集、分析、仮説立案、結論導出の各ステップを評価します。

成果物の評価

最後に表現したレポート、プレゼンテーション、ポスターや動画などを基に、内容の深さ、論理性、創造性を評価します。

協働の評価

グループ活動の中での役割分担、協力の様子、チームワークを評価します。

振り返り(リフレクション)の評価

学習者自身が振り返り、学びの成果や課題を整理する能力を評価します。

 

探究学習ルーブリック表

探究学習は、少しずつ、Hop! Step! Jump!

決まった1つの正解を導く講義型の学習とは違い、「答えのない問いからのプロセスを学ぶ探究学習」は少しチャレンジングに感じるかもしれません。でもいきなり山に登るのではなく、まずは草原を楽しく散歩するような気持ちで、トライしてみて、少しずつレベルアップしていきましょう。

 

協働学習のすすめかた


課題テーマも地元から世界へ、Hop! Step! Jump!

課題となるテーマは、最初は身近な問題を、次に地域の問題を、そしてグローバルな問題に広げて提示していくのがおすすめです。子どもは異なる文化、環境、政治的な背景を持つ問題について学ぶ機会を得ることができ、広い視野で物事を考える力を養うことができます。

例えば同じトマトの栽培でも、以下のようなテーマであれば、グローバルな問題に広げて探究プロセスを体験できます。

課題1 気候変動がトマトの生産に与える影響

課題2 トマト生産における労働問題と倫理

 

表現方法もワークシートから自由スタイルまでHop! Step! Jump!

探究学習はじめたばかりならば、選んだワークシートから、だんだんなれてきたら子どもが好きな表現方法でプレゼンしてもらうのもおすすめです。

 

 

経験を通じた学び=プロジェクト型学習(Project-Based Learning

プロジェクトベース型のアプローチでは、経験を通じた学びを重視し、実生活の問題を解決することをゴールとしています。日本でも「生活科」「総合的な学習の時間」などで幅広く採用されてきて、学校現場で活用されています。

PBLは子どもの実践的なスキルや問題解決能力を育むために非常に有効な方法ですが、プロジェクトは数週間から数ヶ月にわたる長期計画が必要であること、また地域や企業とのコーディネートが必要なことも多く、労力もかかるアプローチとなります。

事例:①トマトやあさがおを育てるプロジェクトを企画し、児童が種まきから収穫までの過程を管理。成長記録をまとめる。②生徒が修学旅行の計画を立て、目的地の選定、日程調整、宿泊施設の予約、活動内容の企画などを行う。