インドがまだそれほど経済発展していなかった頃、 真夜中にムンバイ空港にたどり着いたことがある。その頃のインドはとても貧しく、空港中に物ごいがあふれていた。空港でも街でもタクシーに乗っていても、四方八方から物ごいの手が伸びてきた。街中の道路で行きれたように寝ている人の数には驚くばかり。ベンチの上もベンチの下も、歩道にも車道にも、至るところで人が寝ていた。日本という国を離れて初めて、世界の貧困のきびしい状況を知ることができた。

農業が盛んで国民全員が食べられる食料があるインドなのに、約2億人の人が栄養不足に陥っている。その原因は社会制度や人間のエゴだ。地球上には、現在の国際貧困ラインである1日1.9ドル(約200円)以下で暮らすとても貧しい人たちが7億人以上もいる。